クマンダ

最近は「Poco a poco」というかんじです。「Poco a poco」とはスペイン語で「少しずつ」という意味です。「ポコ ア ポコ」と読みます。音楽用語にもあるので聞いたことがある人も多いのではと思います。

「Poco」は「少し」という意味。いろいろなことを少しずつやってきましたが、少しずつ終わりに近づいてきてるようです。周りには「もう帰る、もう帰る」と言いふらしていますが、私が一番実感が湧いていません。

 

昨日、無事に先月から開始した子供向け社会科見学ツアーの全日程が終了しました。

市内5つの小学校の7年生(日本の6年生)の全児童に参加してもらいました。週一回の最終処分場と浄水施設の見学です。

f:id:reikomiyahara:20190523013418j:plain

最後の学校のクラスはみんなノート持参でした。

 

この活動をするにあたっては、私達の部署だけではもちろんできなくて、下水道管理課の同僚、市役所からお金を払って依頼をした市のバス会社の協力、対象学校の参加協力などなど。私が一度キトに部会の活動で行かなければいけなかったときには部署の同僚Paolaが私の代わりに同行してくれていました。ありがとうPaola。

 

すべての関係機関には正式文書で見学が始まる数週間前に日付や時間などは通知済ですが、エクアドルでは通知しただけでは忘れられる、自分たちのスケジュールには落とし込んでくれない、気にしないことがふつう。なんのための文書なのかもわからないですが、そこを考えてもしょうがないため、とりあえず私は私にできる日本式の丁寧な方法で、毎週、前日に各関係機関に訪問して再通知して回っていました。学校に行って校長先生にお伺い、「文書送ってるんだけど、その件覚えてる?」というところから再度始まります。活動の主旨を改めて説明するともちろん先生たちの反応は良い。そこから対象クラスの担任の先生につないでもらい、活動の説明をもう一度して子どもたちを連れていくことと担任の先生にも参加してもらうことを確認、そしてバス会社にも電話、基本はこの電話はカウンターパートのオルランドにお願いしていました。でも電波がないときは連絡がつかず、確実に手配が漏れていることしか予想されないので、直接会社のオフィスに行って確認をすることもありました。できればここで来てくれる予定の運転手さんの電話番号も入手して、あとで個別にもメール(運転手さんは毎週変わるので都度確認しないといけませんでした)、そして下水道管理課の同僚にも時間をお知らせして、子どもたちに説明してもらえるよう浄化施設での待機をお願いする、ということを各回の事前に行っていました。各学校の対象クラスは毎週変わるので都度お知らせするのは仕方ないにしろ、バス会社と下水道管理課の同僚にとってはもうルーティンであったにも関わらず、この事前確認作業を怠ると100%の確率で事が進まないのがわかっていたのでこちら発信で行っていました。みんな、人が言っていることはすぐ忘れて好き勝手に動いてしまうから、事前に「明日絶対してね!」とお願いしておくことが必要。活動の中身自体よりも大人相手のこの毎週の調整作業のほうが私にとっては大変でした、というか面倒くさかったです。だからといって、こういう細かい確認や手配作業をエクアドル人がやるのはなかなか難しいので、しょうがないです。もしエクアドル人だけで進めていたら、調整不足によりいろいろ問題は直前で生じるものの、その場その場で彼らはなんとかやっていくので(人を待たせたり、グダグダはもちろんするけど誰も気にしない)、彼らにとってはそれで良いんだと思います。でも私の場合は「子どもたちが待っているのにバスが来ない…説明するはずの同僚がいない…」とか直前でグダグダするのも嫌だったし、日本人なら誰しもわかると思いますが、気持ちもハラハラしてしまうので、事前にちゃんと念押しをして当日事がスムーズに運ぶように調整していました。もちろん事前の確認は日本でもある程度は必要だとは思いますが、確認範囲や量のレベルはエクアドル式、日本人と一緒に進めるやり方では何も進みません。直前でグダグダしたり、人を待たせたり、調整不足だなと思わせることをエクアドル人は一切気にしないので、その精神力には参ります。

それでもなんとか毎週活動を進めて、予定していた対象のクラス全てで行うことができたのは、カウンターパート、手伝ってくれた部署のPaola、下水道施設の同僚、バス会社の人たち、学校の先生たち、積極的に参加してくれた子どもたち、みんなのおかげです。「本当にありがとう」と思っています。実施校の中には、今度は先生たち対象にこの活動を行ってほしいという声ももらいました。

無事に毎回実施後には子どもたち向けにアンケートも実施して、形式上ではありますが、子どもたちの感想を集め、レポートにまとめることもできました。エクアドルでは「やったという事実がすべて」で、今回のケースであれば「処分場に行った」という事実で終わり、「行った」という事実が「勉強した」ということになります。見学してどう感じたのかとか、そこから何を学んだか、どう生かしていけるかを考えるということは二の次、日本とは逆です。このアンケートの内容、彼らが書いたことも、もちろん参考にはなるけど、私はこのアンケートには「彼らが最終処分場や浄水場施設で働く様子を見て、どんなことを感じたか、どんな発見をしたか」を少しでいいから振り返る時間を作ってほしかった、その目的で行っていました。それができただけでよかったと思います。

f:id:reikomiyahara:20190523013402j:plain

あとは滅多にない外に出かけて行うアクティビティに子どもたちが喜ぶ様子や、先生たちも一緒に知ろうとしてくれたので、そういう姿が感じられた時は、とてもうれしかったです。

 f:id:reikomiyahara:20190523013030j:plain

基本先生たちはみんな協力的だったので、その点も感謝しています。最終日には少し印象深い出来事もありました。

最終処分場では慣れない人にとっては少しニオイがきついコーナーもあるので、子どもたちと先生にはマスクを配っていました。最終処分場から浄水施設に移動してくると、浄水施設でもう不要になったマスクを落としていく子がいました。私が事前にマスクはポイ捨てしていかないで、置いて行かないでねと、学校に持ち帰って捨てるようにと伝えていたら、落とされたマスクを見て先生がクラスの子どもたち全員に誰のものかを確認してくれました。日本だったら「あ、オレのだ…」と思ってもなかなか手を挙げられなかったりするけれど、その点エクアドルは良い雰囲気で「あ、オレオレ!オレのマスク落ちてた!」みたいな感じでちゃんと手を挙げてくれて、私が彼に落ちていたマスクを渡すと「ごめんなさい」と言いながら受け取ってくれました。私も「ありがとう」という気持ちで一杯になりました。

 

そして今月はありがたかったことに、3回ほど隊員が私の任地に遊びに来てくれました。

中でも私の大切なエクアドル人のお友達「Cumandá」(クマンダ)が遠いところからヤンササまで来てくれたことには驚きつつも、心からうれしかったです。今回のタイトルは彼女のお名前です。

彼女とは、以前サントドミンゴという街に遊びに行ったときに、その街に住むボランティアから紹介され、そのときにいろいろなお話をしました。彼女は中国に留学したことがあって、ふだんは英語とスペイン語の通訳のお仕事をしています。人と知り合うとき、異性同性関係なく、初対面で「この人と仲良くなりたい」とか「仲良くなれるだろうな」とかそういう感覚を持つ人って不思議といると思うのですが、私は彼女にエクアドル人で初めてその感覚を覚えました。サントドミンゴの街を案内してくれたときも、自然なかんじで私達日本人に気を遣ってくれたりして、それがすごく感じ良くて素敵だなぁと思うそんな雰囲気の女性でした。

そこから距離は離れているのでもちろん定期的に会うということは出来なかったのですが、気にかけてくれていたようで、今回私の帰国前に任地まで遠い所会いに来てくれました。彼女の名前は私のステイ先のお姉ちゃんの名前と一緒で、エクアドル人にしては少し珍しい名前。なので、そういう話をしたりもできて、知り合った場にいた隊員の中では私と一番話をしてくましたし、すぐに仲良くなれた、そんな気持ちが不思議としました。

ということでせっかく来てくれるから何かおもてなしをしたいなぁと、以前からカウンターパートのオルランド日本食をみんなで食べたいと言ってくれていたので、部署の同僚たちと近隣の隊員を呼んで、みんなで会食をすることにしました。

人数は10人分。こんなにたくさんの人の分を一度に作ったことがなかったので、恐る恐るでしたがなんとか無事に出来上がったのでよかったです。私の顔は少し疲れ気味。

f:id:reikomiyahara:20190523034415j:plain

鶏肉の照り焼きやポテトサラダ、ナポリタンなど。

f:id:reikomiyahara:20190523034617j:plain

そして翌日も私の活動を一緒に見学してくれて、午後は街を少し案内、そして夕方に帰っていきました。

本当にうれしかったし、すてきな思い出ができました。ありがとう、クマンダ!また会える日まで。私の右側にいるのがクマンダ。任地に来るまでの途中の街、クエンカで買ったと思われるかわいい箱とその中にお手紙を添えて別れ際にプレゼントしてくれました。お手紙を読んだときは少しこみ上げるものがあったなぁ。私からはバスの旅のお供に1週間かけてパン粉の改良を重ね、無事完成したコロッケをソースと一緒に渡しました。前からコロッケを食べてみたいと言ってくれていたので、食べてもらえてよかった。バスの中でおいしく食べる様子もあとから写真で送ってくれました。食べてくれてありがとう~。

f:id:reikomiyahara:20190523033935j:plain

ヤンササの文字の前で3人で。

f:id:reikomiyahara:20190523033948j:plain

 

そしてその週末にはもう一人のクマンダ、ステイ先のお姉ちゃんと、一緒にお昼ごはんを作ることになり、今度は別のメニューを作ってみました。

ロールキャベツ。

f:id:reikomiyahara:20190523013043j:plain


こちらも好評だったのでレパートリーに加えます。

エクアドルに来てからごはんを作る機会は格段に多くなり、また自分の作ったごはんを食べてもらう機会も増えました。私のステイ先では、特に食生活を大切にしている気がして、しっかりとおいしいものをみんなで食べるというのが彼らのモットーに感じます。それを見ていて、ごはんを作ること、ごはんを誰かのために作ること、おいしいものをしっかり食べるということの大切さ、根本的なものに改めて気づかされた気がします。

部署で行っている日本語クラス。生徒のサウルくんはメキメキと知識を増やしてくれています。すごいなぁ。単純にとても賢いな、と習う様子を見ていて感じます。すぐにどんどん入っていく。前にも書いたけど、ここでは挨拶文化がとても大切で、フレーズもいろいろあります。部署では今、朝の挨拶、お昼の挨拶、お昼ごはんに行くとき、その日を終えるとき、少し出かけるときなどなど、最近は部署の同僚、カウンターパートのオルランドとディエゴ、パオラと日本語で挨拶するようになりました。うれしい、覚えてくれてありがとう。

この日のクラスはクマンダが遊びに来てくれた日、彼女も同席してくれて、いろいろ助けてくれました。

f:id:reikomiyahara:20190523033854j:plain

そんなこんなで、明日から最後の旅に行きます。ちなみに行き先はペルー。

また報告しますので、おたのしみに。