新しい風?

4月が始まりました。そして早いものでエクアドル生活も残り100日を切りました。日本では新元号が発表になり、時間は経っていないようで、確実に過ぎているのだなと感じます。新元号発表時は私も日本の生中継動画で発表を見守りました。便利な時代です。

さてさて最近の任地では、とりわけ私の活動に関わる部分において、少し新たな風が吹き始めたかな~と思っています。

まずひとつめ。これは今年に入ってから私がカウンセラーパートのオルランドと進めてきた案件で、学校の授業に社会科見学を導入するというもの。これまで学校に行ったり、その他いろいろなタイミングで学校の中で子どもたちと関わってきました。エクアドルの子ともたちはとっても元気で、時に親切でとても素直でおもしろいのですが、反面、他人を無下に扱うというようなことも見受けられました。細かいことは気にしないという大らかなことなのかもしれないけど、それでももっと相手の気持ちを考えたり、感謝の気持ちを持ったり、普段見えないところを知ることで発見したり、考えたりする機会を創ることはできるのではと、私からオルランドに相談して、彼が賛成してくれて話が進んだ案件。もちろん私たちの仕事の広報にもつながります。見学先は、最終処分場と水道浄化施設。最終処分場は私たちの部署の管轄ですが、水道施設は市役所の水道管理課の管轄。ということで、はじめて部署を超えて協力を要請しての活動。水道施設を入れたのには、もちろん水とごみという一番身近な環境問題につながること、また、任地では道のポイ捨てが多いと特に雨季の雨が一度にたくさん降る時期は、ごみが道の排水溝につまり、排水ができなくなるという事象にもつながっているため、合わせて紹介できたらいいのではと考えました。この手続きには、まず市長の許可申請、その後教育委員会への許可申請、そして教育委員会が許可してくれたら、各学校に通達文書と交通手段となる地元バス会社への通達文書、そのバス手配のために市役所の会計課へお金の申請などなど、それぞれに文書作成が必要になりますが、この部分ではオルランドとともに部署にいる秘書の女性パオラがたくさん協力してくれて、各文書作成を進めてくれました。そしてなんとか迎えた初日。今回のこの社会科見学は市内の中心部小学校5校の7年生の子どもたちが対象。ふだんはない外でのアクティビティにみんな大興奮で、元気いっぱい。たくさん学んでとは言わないので、何かひとつでも彼らの記憶に残るものがあればいいと思います。

水道施設にて。私はこちらをこの水道課の同僚と担当。

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一通りのお話が終わると脇に生えるグアヤバという果実を取って食べるのに夢中な子どもたち。食べ終わると残りはポンポン下に捨てるのですが、生ごみは肥料になるからまったく問題なし。でも改めてこうやってポンポン下に捨てるのが習慣にあったら、それがプラスチックか、肥料になるものなのかをポンポン下に捨てる前に考えて気にするという習慣付けの練習が必要なのかなとも感じました。

処分場。こちらはオルランドの担当。

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皆が見下ろす先は、埋立地エクアドルは日本のように焼却ではないので、リサイクル不可のものはそのまま埋めるだけ。もちろんしっかりとした素材のシートで覆い、汚水対策をして、砂をかけます。これは本当にちゃんとできているほうで、他の街ではただただ野ざらしにどんどん捨てて、砂などもかけず、風が吹いたら飛んで行ってしまうというような管理を行う街もたまに見受けられます。

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いつか処分場のほうにも付いていこうと思います。

そして週明け、子どもたちにアンケートを実施。f:id:reikomiyahara:20190402065538j:plain

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けっこうしっかり書いてくれる子も多くて安心。

中には下に私宛にメッセージを書いてくれていたりもしました。

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60人中1人、顔文字とともにお返事をくれた子も。こういう創造性は私は大好きです。

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この活動は今のところ5月中旬まで続く予定。これから嫌なことも出てくるかもしれないけど、まずは予定している回をちゃんと終えられるといいなと思います。

そしてふたつめ。なんと、任地で若者たちによるボランティア清掃活動グループが立ち上がりました。この企画には特段私は企画者として関わってきた訳ではありません。フランスのパリに清掃ボランティア活動をする日本人グループ「Green Bird」という団体があるのですが、この団体の活動について、以前2018年の6月にキトで行われた環境部会の中で、それぞれ参加してもらったエクアドル人同僚たちにこの事例を紹介しました。そのときの紹介資料を部署にいる同僚のディエゴにも見せていて、彼はそのビデオを見てからこういう活動に関心をもっている様子が見えました。ここ2月3月は市のお祭りやカルナバルが続き、ブログにも書いたように、私たちの部署でごみで荒れ果てたお祭り会場の清掃活動を行う中、市民のボランティアグループなどを設立できたらいいよねという意見も出ていました。そんな中、ある日ディエゴが、有志の若者たちがごみ拾い活動を始めるかもしれないらしいという動きを聞きつけ、市役所の私たちの部署としても協力しよう!となり、関われることになったもの。なので、本当に自然発生的にできあがったものです。すごいすごい。感動しました。何かが変わっていくというのは彼らが何かに気づいて彼ら自身が何かを思わないと動いてたいかないことで、たった2年の間に何かが変わっていく様子なんて、見ること、感じることすらないと思っていました。私は私にできることを淡々とやってあとはみんなと仲良くなって楽しむという部分をクリアできればいいかなと目標は高くせず、精神的に疲れないようコントロ―ルしていたので、あきらめとは違いますが、なかなか私がいるこの偶然の2年間にそういう風が吹くなんて思ってもいませんでした。もちろん今回の動きはいろいろな条件がうまく重なり、いいかんじに動き出した、とても希少なケースです。でもそこに立ち会えただけで感謝する限りで、残りの期間できるだけ関わって行こうと思います。

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発起人となったのは、ヤンササ出身の大学生で、ふだんはキトの大学に通っているためキト在住だけど、現在は大学が長期休暇中なので、里帰りしている、マックスという青年。この彼を中心に声をかけて集まったのが15人ほどの学生たち。この中には私のステイ先のお父さんの孫(長女パティの長男イラエル)も属しており、半分家族のようなイラエルもいるし、マックスやその他のメンバーとも少し打ち解けることができたので、よかったなぁと思います。彼らとはまずサモラ川岸のポイ捨てがひどい所を重点的に1日かけて清掃活動、この日は15人ほどで行いました。

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緑のTシャツを着ているのがパティの息子のイラエル。

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市役所からマスクや手袋、ごみ袋などの必要物品の調達と適宜ごみ回収車を呼んでの回収作業を行いました。この日回収したのはなんと3トンのごみ。マックスは当初市役所の手伝いもない中で全部自分たちでなんとかできるだろと考えていたらしいけど、こういう大掛かりな清掃活動を行うならやはり行政の力は不可欠でした。そこにうまく私たちが入っていけたので、かけ橋になってくれた同僚のディエゴには感謝です。

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最近SNSで流行りだした「Basura Challenge」という活動。(Basuraはスペイン語で「ごみ」という意味。)その中で、清掃前と清掃後の写真を一緒にしてアップされる画像が話題になっており、それを真似て、私たちも環境課のFacebookページや彼らのグループのFacebookページに拡散用に作成。広報の一環です。

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そしてこの第一回のあと、みんなで話す中で、グループとして継続的な活動ができるようなスタンスがよいという意見まで出て、まずは付いたグループ名は「Eco Luciérnaga」(Ecoはもちろんエコ、Luciérnagaはスペイン語で「蛍」という意味。任地Yantzazaは現地の先住民族語で「蛍の谷」という意味の街の名前なので、蛍はYantzazaの象徴。そこから取っています。)、悪くない名前です。こういうのがひとつひとつ彼らのモチベーションにつながっていけばいいなと思います。

みんなで話す様子。オルランドも加わって。

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やはり上から言われたことだけをやる、自分が良ければ良い(これはまだまだ先進国に比べて国が経済的に貧しいからということなのか、基本的な性格か、いろいろな側面があると思うけど)などなど、そういう雰囲気が強いこの国で、こういうような自由闊達な活動が自然とわきあがるなんて、正直私は思っていなかったので、エクアドルの最南部の田舎街にも、新しい風が吹いていくかもしれません。田舎街と言っても、以前に比べたら街はどんどん大きくなっているんだろうなと感じます。人口も増えているだろうし、たくさんの物も流通している。最近のSNSやインターネットの普及で海外の動きを見たり、実際に海外に出たりそういう人も多くなってきて、これからのことは想像もできませんが、人も街もこれからもっともっとどんどん大きく成長していくのだろうなと感じます。